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最高裁判所第三小法廷 昭和35年(オ)611号 判決 1963年10月01日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人野口一の上告理由(上告状記載分)について。

民法三八八条にいう競売は租税滞納による公売処分(本件競落は昭和三二年四月一日に行われた)をも含むと解すべきことは所論のとおりである(最高裁判所昭和三五年(オ)第九四一号、同三七年九月四日第三小法廷判決、民集一六巻九号一八五四頁参照)。しかし、土地及びその上に存する建物がただ同一所有者に属しているというだけで、何らその土地又は建物が抵当の目的となつていない場合には、その土地が競売されたからといつて右民法の特別規定を類推適用してその建物のため地上権が設定されていたものとみなすべきものと解することは困難である。論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 河村又介 裁判官 石坂修一 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 横田正俊)

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